はるか昔、月光の中で一匹の妖狐が生まれた。

 

九つの尾を持った黒いそれは、

禍々しい力を以て暴れ回り世界を壊していった。

 

 

やがて、妖狐は人間の男に恋をした。

そして生き残った僅かな人間たちに向けて言った。

 

≪その男を伴侶として捧げよ。そうすれば大人しくしてやっても良い≫

 

滅びが目前に迫っている人類に、選択肢は無かった。

男は妖狐の伴侶として捧げられ、満足した妖狐はその力を封印された。

 

 


 

※このお話は2018年に執筆したものに加筆修正を加えるかたちで掲載しています。